どのようなデザインにすれば見やすいポスターに仕上がるのだろう、レイアウトを綺麗に見せたいけど具体的に何をすれば良いのか分からないなど、学会ポスターのデザインやレイアウトに悩んでいませんか?
基礎知識がない状態でゼロからポスターのデザインやレイアウトを検討するのは大変ですよね。学会用ポスターのデザインでお困りの際は、テンプレートの活用がおすすめです。
テンプレートを利用すると、初めての人でもポスター作成をサクサク進めることができます。記事内ではポスターを綺麗に仕上げるためのレイアウト方法や見やすいデザインにするためのポイントをご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
こちらから世界的デザインアワードで受賞経験のあるデザイナーが作成した、学会ポスターのテンプレートもダウンロードできます。
学会用ポスターの主なレイアウトは2種類
学会用のポスターを作る際は、複数枚のスライドで一つの資料を作るスライド配列型、1枚の用紙で自由にレイアウトするフリーレイアウト型のいずれかを採用することになります。
複数枚で作成するスライド配列型
スライド配列型のレイアウトは、作成手順がシンプルで分かりやすいため、ポスター作成に慣れていない方でも綺麗なレイアウトに仕上げることが可能です。プレゼンをおこなうためのスライドを10枚前後用意し、2列や3列に並べて一つの資料を作成します。
スライド配列型のレイアウトで学会用ポスターを作成する際は、多くの方がパワーポイントを使うかと思いますが、それぞれのスライドを作る際は、各スライドがA3やA4の大きさになるように、縦横比4:3の標準サイズの設定をおこなうと綺麗に仕上げられます。
1枚で作成するフリーレイアウト型
フリーレイアウト型は、学会用ポスターのサイズの新規書類にゼロから文章やグラフ、表などを配置するポスター作成方法になります。
パワーポイントで作成する際は、学会で規定するサイズに合わせて縦横比を固定し、少し縮小した用紙サイズで作成をおこなってください。
理由としては、パワーポイントの用紙に設定できる最大値は142.22cmとなっているため、学会が規定するサイズに届かない可能性もあるからです。作成するサイズが決まったら、あとは自由に配置を決めていき、見やすいポスターに仕上げていきます。
学会用ポスターを構成する5要素
学会用ポスターで伝える内容は論文と同じような構成にすることで、読み手に伝わる資料を作成することができます。
研究の背景
まずは研究の背景をレイアウトします。研究内容を伝える前の導入部分になりますから、研究テーマに行きついた経緯について簡潔に記載しましょう。
具体的には、研究テーマにおける現在までの見解、その中でもまだ理解されていないトピック、そのトピックについて明らかにする意義、自分なりの仮説などを研究の背景にまつわる要素として盛り込むと、読み手を惹きつけられる導入文に仕上げられるはずです。
研究の目的
研究の背景のあとは研究の目的をレイアウトします。研究の目的とは、これからプレゼンする研究がどのような問題を解明しようとしているのかを深掘りして伝えるための項目です。研究の目的は何を明らかにするものなのか、そのためにどのような現状の状況に注目しているのか、期間内の研究で明らかにすることは何かなどを記載します。
一文が長くなると読み手のストレスになりますので、簡潔な文章を心がけながら作成を進めます。
研究・実験方法
続いて研究・実験方法をレイアウトします。研究の目的を達成するための具体的な手段について簡潔に述べるための項目になります。
また、研究や実験が想定した通りに進行しなかった場合の対処法、視点を変えた研究方法などがあれば合わせて記載します。チーム体制で研究を進めている場合、各担当者の役割なども記述しておくとよいでしょう。
研究・実験結果
研究方法のあとは結果についてのレイアウトです。研究結果は、ポスターに記載した研究・実験方法を実施したことで判明する事実や成果のことを指しています。
注意点としては、研究・実験結果は事実をそのまま記述することです。結果の項目であるにも関わらず、自分の考えなどを記述内容に入れてしまうと、考察と混合することになってしまい、実験の成果が分かりづらいものになってしまいます。
考察・結論
最後は考察・結論で締めくくります。考察は、研究の目的で記載した現状の課題に対する答えを記述する項目になります。
結果では研究から明らかになった事実だけを記述しましたが、考察では結果から考えられる自分の解釈を加えても問題ありません。
ただし、主観的に書いてしまうと感想になってしまいますので、結果から客観的に判断できることを考察で述べていくことが大切です。
学会用ポスターのレイアウトで守る4原則
学会用ポスターを読んでもらうには、研究内容をいかに読みやすく仕上げられるかがポイントになります。デザインを綺麗に見せる4原則を活用し、視認性の高いポスターを作成してみてください。
近接
4原則の1つ目は近接です。近接とは要素ごとの距離を調整することで視認性を向上させるための方法です。具体的には、関連する図形や文字があれば近づけて配置しグループ化することで一つの要素として読んでもらいやすくなります。
また関連しないものであれば余白を作り距離を開けることで、別の要素であることを読み手に伝えることができます。どの要素を一緒に読んでもらいたいのか、区切りはどこなのか、余白をうまく利用して演出します。
整列
2つ目は整列です。整列とは要素ごとにルールを決めて配置することで、それぞれの共通点や違いを視覚的に伝えるための手段です。
左・右・中央など横の動きに関する整列、上・下・中央など縦の動きに関する整列を駆使し、すっきりとした文字の並びに整えます。
強弱
3つ目の原則は強弱です。強弱とは、読んでほしい・見てほしい情報の優先度を意図的に示すための手段です。フォントサイズや色、装飾などで情報の注目度の違いを表現します。スーパーのチラシの中でセール品の値段が赤色で大きく強調されているデザインは、強弱をうまく利用した例の一つです。
インパクトのあるデザインで注目を集めることができ、強弱があるとメリハリのあるポスターに仕上がるため、読み手を飽きさせずに読み進めてもらえます。
反復
最後の原則は反復です。反復とは、同列の要素に対して同じデザインを繰り返し使うことで、読み手にも情報が並列して記載されていることを示すための手段になります。
近接や整列だけでなくデザインも同じにすることで、より直感的に要素の意味を理解できるようになります。
4原則を使えるようになるだけでもポスターの仕上がりに大きな変化を与えられますので、ぜひ念頭に入れながら作成を進めてみてください。
学会用ポスターのデザインで意識する10ポイント
学会用ポスターの場合、見やすさも読み手の評価の対象になります。装飾をして目立たせるのではなく、情報の整理やレイアウトにこだわり、ストレスの少ないデザインに仕上げることがポイントになります。
余白をとる
余白を効果的に使うことで、ポスターが見やすいデザインに仕上がります。研究の成果を知ってもらうために、できるだけ情報を詰め込みたい気持ちになりますが、余白を使い余裕をもたせる方が、情報が読み手にスムーズに伝わるようになります。
余白を追加する部分としては、用紙の周囲・文字と用紙の間・行間・文字と図の間などがあります。また、枠囲いをした際の文字と枠の間にも余白を入れることで、文字がより強調されて見えるようになります。
揃えられるところは揃える
文章に限らずグラフや図形、表などもそうですが、揃えられるところは全て揃えるようにしましょう。たとえ小さなズレであったとしても、一度気になってしまうと研究についての情報が頭に入りづらい状況を作ってしまいます。
段落ごとの文章の始まる位置、文章と図形の高さを確認し、ズレを発見したら都度揃えるようにします。人は上から・左から文字を読み進めていきますので、上と左の位置を意識して調整作業を進めていきましょう。
タイトルより上部にテキストを書かない
ポスターに記載する内容ごとにタイトルや見出しを付けるかと思いますが、タイトルより上部にテキストを書かないようにして、タイトルと被らないことを心がけましょう。
タイトルは内容ごとの区切りの役割もしていますので、タイトルが他の文章で埋まるようなデザインになると、メリハリのない読みにくいポスターとなる可能性があります。
おさまりの悪いイラストやグラフは四角で囲う
文章や図形をできるだけ揃えることで見栄えの良いポスターに仕上げることができますが、場合によっては揃えにくいイラストやグラフを使わざるを得ない場面もあるかと思います。
その際は、イラストやグラフを四角で囲い、囲った四角の端を他の文章などに揃えることをおすすめします。統一感のないイラストやグラフのグループ化ができ、すっきりとした印象を与えます。
関連のある項目同士を相対的に近づける
レイアウトの4原則の近接でも解説しましたが、関連のある項目同士は距離を近づけることでそれぞれの関係性がわかりやすくなり、見やすいレイアウトを演出することができます。余白や揃えも同時に駆使することで、さらに均整のとれたポスターに仕上がるはずです。
色を使ってグループ化する
過度な装飾は可読性を低下させますが、対比や区別のために色を使って図形や文字をグループ化するのはおすすめです。
距離の調整だけでなく色でのグループ化をおこなうことで、より読み手の理解を助けることができます。同列の項目が複数並ぶようなケースであれば、異なる色で装飾をすると、区別がしやすくなります。
長めの文章でもスペースを使ってグループ化する
ポスターによっては長めの文章を記載する必要が出てくるかもしれません。その際は、スペースを利用して、文章ごとの余白を作るようにします。
色分けや枠囲いをすることで内容ごとに区切りを入れることはできますが、余白がなければ関連のある内容と認識されてしまう場合があります。
内容が切り替わる場合、読み手にも一呼吸置いてもらえるように、スペースで余白をあけてから次の内容が続くようレイアウトに工夫を持たせましょう。
コントラストをつける
タイトルや見出しを設ける際は、本文とのコントラストを強調させることで、メリハリのあるデザインに仕上げられます。
コントラストとは対比や対照という意味があり、両者の違いをハッキリと示すことが大切です。
分かりやすい処理の方法としては、文字サイズの変更です。見出しの文字サイズを本文の文字サイズと比べて相対的に大きくすることで、視認性の高い強調された見出しに変化します。
アイキャッチャーで魅力的にする
できるだけ多くの人に研究を読んでもらうには、ある程度目立つポスターにする必要があります。過度な装飾とならず、かつシンプルなレイアウトを維持するためには、アイキャッチャーを取り入れることが有効になります。
アイキャッチャーとは目を引くための工夫のことで、研究内容をイメージさせる写真やイラスト、立体的な図形など、ワンポイントになるデザインをポスターに加えることで、全く印象の違う資料が出来上がります。
パターンを繰り返し、統一感を出す
ポスター全体の印象をよくするのに大切なことは、統一感があることです。スライドごとに異なるデザインになっている、各見出しすべて異なるフォントやサイズでデザインされていると、幼稚で見にくいポスターになってしまいます。
配色は多少の変化があっても良いですが、タイトルのデザインや見出しの枠などは繰り返し使い、全体としての統一感を演出するようにしましょう。
まとめ
学会ポスターのデザインやレイアウトについて解説しました。
研究内容をできるだけ分かりやすくポスターに記載するためのコツをご紹介してきましたが、研究者としては、ポスターのデザインよりも、本来の仕事である研究内容について深く分析するための時間を確保したいはずです。
短時間で手間なく見栄えの良いデザインに仕上げるためには、テンプレートの活用がおすすめです。ドキュメントビズでは、世界的なデザインアワードで受賞経験のあるデザイナーが作成しているテンプレートを数多く揃えています。